2001年3月11日(日)  〜23日目〜  晴れ  170.5Km
 今日の目的地は足摺岬。本当ならもっと遠くまで行けるけど、足摺岬で泊まって日の出が見たいんで。その代わり、途中の景色がよさそうなところはちゃんと観光するぞ。


 まずはR56をまっすぐ走り、有料の西海道路を通って西海町へ。ここは今にも四国本体から切り離されて島になりそうなカンジのところ。海がすごくきれいだから、こういう陸の先端っぽいところに行きたくなる。入り口の西海道路は有料道路なだけあってきれいでまともな道だったけど、県道に入ったとたん細…。車が来たらすれ違うことも出来ない細さのクセに、ブラインドコーナーの連続…マジ怖いんですけど。いつもみたいにきょろきょろあちこち見回しながら走るなんて絶対無理。常に車の影を探して神経とがらせてた。たまにアスファルト途切れるし…たった5mくらい、ちゃんと道路繋げようよ。なんつーか、工事中とかの一時的なものじゃなくて、舗装がダメになったまま放置されてるっぽいんだよね。


  海中公園っていう標識を見つけて行ってみたけど、それはグラスボートで渡らなければならないらしい。そして、料金がものすっごく高い。とりあえずグラスボートはこの先の竜串で乗る予定だからいいやってことで先に行く。目的地は西海の一番奥、高茂岬。四国に入ってから、目的地が岬ばっかりだ。なんでだろ。写真に撮ってみると、どこも似たような風景に見える。いちいちそれら似通った写真を「これはどこの岬、こっちはどこの岬」って説明するのも難しい。けど、岬って字が見えると思わず行きたくなる。何度も行ってても、またあの絶景が見たくなる。


 西海自体、道路にめったに人も車も見ないだけあって、高茂岬にも人影はない。思ってたほどの豪快な景色じゃないけど、晴れててあったかくて景色がいいところに、広い芝生が広がってる。あー、ここもお昼寝スポットだー。けど、寝転ぶより先にあちこち探検。整備されている遊歩道を端っこまで歩くと、なにやら小さな灯台にたどり着いた。そこから先に道はない。けど、よく見るとなんだか灯台の裏に木と木の間が不自然に開いてるところが。近くに寄って見ると、そこから先に人一人通れるようなけもの道がずーっと続いてる。案内板すらないから、この先に何かあるとは思えないけど、なんだかどうしても行ってみたい。もしかしたらすごい風景がこの先にあるかもしれない。



  道は木と木の間に細く続いているだけで、ヘタすると林の中で見失いそうになる。地面もかなり斜度がついていて、たまに木につかまりながら滑り下りたりする、けっこうハードな道のり。がんばって先に進んでいくと、木が少し開けて海が見下ろせるところがあった。ちょっとその崖っぷちに出てみる。足場が不安定なので、岩をつかむと、それもボロボロ崩れる。かなり危険かも。あまり先端まで行かずに海を見渡すと、多分この道の先にあるであろう物が見えた。岬の本当の先端にあたる崖っぷちで、釣りをしている人が見える。この道は釣り人が釣り場に行くためのものらしい…謎が解けたら興味も失せた。っていうか、これ以上先に進むのは体力的につらすぎ。あきらめて引き返す。しかし、釣りのためだけに彼らはこの道を行き来するのかー。その根性に驚く。



 汗だくになりながらホーちゃんのところに戻って、西海1周ルートに戻る。車の後ろについていくと、ペースは遅いけど対向車に怯えなくてすむことに気づいた。けど、景色のいいところに来るとしょっちゅう停まるため、弾除け代わりにしてた車はさっさと先に消える。さっきとは違って西海を出るときは有料道路ではなく、普通の県道を通ってみる。マップルでは断崖路って書いてあったから、どんな細い荒れた道かって怯えてたけど、さっきまでの道に比べたら全然普通。


 まっすぐ海沿いを南下しながら足摺へ向かう途中に、竜串に寄る。VTRちゃんが「すっごいいいよ」って教えてくれなかったら、こんなとこ、聞いたこともなかったし、絶対通り過ぎていただろうな。


  竜串海岸の付近まできたところで、もうすぐ総走行距離2万km達成…絶対写真に収めるぞってことで、ずっとメーターに注意を払う。ちょうど駐車場に入ったところで19,999.7km。人がいて、挙動不審に思われるかなーと思ったけど、ちょっとグルグル回って、ついに19,999.9…20,000.0♪ 1万kmのときは気がついたら10,003kmになってた。15,000kmのときは写真撮ったのにボケちゃってて全然見えなかった。17,000kmのときはほかの人が乗ってたorz けど、もうそんなのも打ち消しちゃうくらいすごいよ。まさかこのバイクで2万kmも走るとは思っても見なかった。


 ホーちゃんを停め、ブーツをスニーカーに履き替え、ジャケットもウインドブレーカーに着替えて、準備万端で海岸の方に歩いていく。私の判断としてはめずらしく正解。竜串海岸は砂岩とか泥岩とか柔らかい石質の岩でできてるようで、海や風に浸食されて、ものすごく複雑でおもしろい風景になってる。岩を降りたり登ったりジャンプして渡ったり、ブーツじゃかなり動きづらかった。写真をお願いした人は地元の方で、ちょうどお散歩してたってことで、一緒に解説しながら歩いていただいた。ちょうど引き潮の時刻だったそうで、普段は海の中にある岩も、全部見える。


  岩は、形もおもしろいけど模様もすごくきれいな縞模様になってる。長い時間をかけて堆積した砂が岩になり、侵食されてその模様を見せてる。縞模様はまっすぐなストライプのところもあるけど、うねっていたり、断絶してるとこもある。ここまでに至る経緯が想像できる。

  岩からたまに鉄筋みたいなのが出てて「この岩ってもしや元はコンクリートかなんか?」って思ってたら、それって実は木の根っこなんだって。木の根が波や風にさらされて風化し、化石化したものらしい。いちばんすごいのは大竹っていう風景。岩が、海に向かって長く横に伸びてて、竹みたいに節ができてる。大竹って名前はついてるけど、竜の骨のようにも見える。そんなのが何本も並んで横たわってる風景は、すごい迫力。



 思ってた以上に竜串の風景がすばらしかったんで、出費は痛いけどグラスボートに乗って見残しへ行くことにする。グラスボートは1000円、船底がガラス張りで、海底が見えるようになってる。もう最終便間近なんで、お客さんがいなくて船は貸し切り状態。まだ魚もサンゴも何も見えないけど、海底はすごくきれい。白い砂が砂漠の風紋みたいな模様になってて、青くぼんやりした光の中に浮かんでる。走行中は酔うから見るなって書いてあるけど、こんなきれいで不思議な風景を見ないわけにはいかないってば。


  初めてサンゴ礁のエリアに来たときは、思わず歓声を上げてしまった。だって、今まで水族館の水槽なんかでしか見たことなかったものが、自然界にほんとにあったんだよ。あれって作り物じゃなかったんだー。サンゴが生い茂る間を、輝くような青や黄色の魚がひらひらと泳いでる。熱帯魚屋さんで厳しく水質管理されて生きてるあの魚たちが、普通に暮らせる環境がそのままあるなんて、日本もまだまだ捨てたモンじゃないなあ。



  けど、見残しの船着場に着いて降りてみたら、海面に油の膜が…船のエンジンが海を汚してるみたい。一人で船を独占できたのは嬉しかったけど、これを見たらちょっと悪い気分。最終便の時間も間近なんで、見残しにいられる時間は30分だけ。とりあえず展望台に行って終わりかな。急いで山道を駆け登る。足も呼吸もめちゃつらい。でも、見ないで帰るのは絶対イヤだからがんばる。見残しっていう地名は、かつてこの地を訪れた弘法大師がこのすばらしい風景を楽しんだんだけど、時間がなくて全部を見ることはできず「見残しの地に見残しの景色あり」って詠んだことからついたんだって。弘法さん、お気の毒にねー。私が全部見てきたげるよって思ってたけど、私も同じ状況に陥った…さっきからこの句が頭の中でリフレインしてる。必死で走り回って展望台の他に海岸も見て、ダッシュでボートに戻る。帰りはあっという間だった。


  あとは足摺岬を目指す。途中、スーパーで今夜飲むチューハイを買ったら、年齢確認されちった。10代に見えるのかな? わーい♪ 徳島在住のライダーさんに「足摺スカイラインっていいよ」って教わったんでGO。空が近く見えるって書いてあったのを楽しみにしてたんだけど、もう夕暮れ近くて真っ青な空は見えず、残念。車が全然いなくて、路面もきれいで楽しく走れた。


  YHに寄らずにそのまま足摺岬に行く。本当ならここから海見ながら卒業の可否を聞きたかったんだけど、松山城で聞いてよかった。こんなツアー客だらけのとこでなんて、何の感傷にもひたれない。まあ、こうなったらツアーの団体にくっついて説明聞いてやる。一人だったら見落としそうな小さなところもいちいち説明してくれたんで助かった。かつて足摺岬は自殺の名所だったんだけど、観光客の増加と共に激減したんだって。そりゃそうだろなあ。私だって自分の最期をこんなとこで終わらせたくないや。


 宿に戻ってご飯を食べて、明日は日の出が見たいので早めに就寝。なのに集団チャリダーがうるさーいッ! これだから集団って嫌いなんだ。

8日 9日 10日 11日 12日 13日