2001年2月24日(土)  〜8日目〜  くもり  172.6Km
 今日の降水確率は40%。昨日は10%で一日中雨だし、今日も絶対降るよって言われてる。さいてーだ。日の出を見に行ったけど、曇ってて全然見えない。

 7時半頃、宿泊者の一人・コイズミ君が大きなバッグを背負って出て行った。高校の卒業式があるから帰らなきゃ、なんだって。「那覇まで後ろに乗っけてくださいよ〜」って言ってたけど、私の出した条件であきらめた。

  @メットを手に入れる(工事現場からパクってくるって言ってた)
  Aここから那覇までの信号を全部なくす(私は後ろに人を乗っけると不安定になるんで停まれないのです)
  B Aができないなら、750cc以上のバイクを手に入れる(でかいバイクなら二人乗りできるんで)

 上野公園に寝泊りして日雇いのバイトしつつ旅してきたとか、18歳とは思えないくらいしっかりした(世間ズレしてるっていうか…)子だった。こんな若いうちから旅してるなんて、すごいなあ。他にも旅立つ子はいっぱいいるけど、見送っている時間がない。せめて降っていないうちにまた辺戸岬に行っておきたい。こんなにあせってる自分がバカらしく思えてくる。北海道で会った人たちはほとんどバイカーで、みんな毎日あくせく走ってたから、違和感感じなかったけど、沖縄の旅人はほとんどが徒歩で、バスやヒッチハイクで移動しながらのんびり滞在してて、たった4泊5日の日程のために雨の日も必死に走り回ってる自分が馬鹿らしくなってくる。生き方を反映しているような旅の仕方。余裕がない。生き急いでる、なんて言葉まで浮かんでくる。

 R58をまっすぐ走って辺戸岬。昨日目前まで行っておきながら見れなかったので、いざ見たときの感動もひとしおだった。晴れていれば与論島まで見えるらしい。崖の先端まで行って、エメラルドに澄んだ海をはるか下に覗き込む。高いところは大好きだ。しかし、なんかホーちゃんが変。異様に水温が熱くなる。スピード出せば下がるけど、車に捕まるとまた急上昇。ホーちゃん停めてよく見てみたら、ラジエーターに泥跳ねが… これが風をふさいでるのかなと、木の枝で掃除してみたら、ちょっと改善された。恐るべし、沖縄の赤土。


 萱打ちバンタももう一回行って、今度は海洋博公園へ。雨は降らない上、明るくなってきた。すごいラッキー。一日だけのチャンス、ちゃんと有効活用しなくちゃ。駐車場にホーちゃんを停めて、さっさと歩き出す。この公園は海のそばの整備された人工の公園なんだけど、すごくきれい。まずはエメラルドビーチっていうのを目指して歩き出す。

  途中にも凝った造りの建物があって、中にはマナティーや海亀、イルカなんかがいる。海風のそばの海には「ジュゴンのいる海を守ろう」って看板がいっぱい立ってて、ジュゴンってどんなモンなのか、見てみたかった。海風に泊まっていた高校生・ゲンキ君に、海洋博公園に行けばジュゴンがいるって聞いてきたんだけど、どうやらマナティーの間違いらしい。まあ、尾ビレの形と、牙・爪の有無くらいしか違わないんだけど。マナティーって上から見るとでかい靴べらにしか見えません。哺乳類のクセに両生類なみの単純さだ。



 公園の道は石垣やヤシの木、花なんかで南国チックに演出されてて、歩いてても楽しい。エメラルドビーチは広くて白い砂浜と、エメラルドグリーンの海、そしてヤシの木という、絵葉書みたいな風景。こんな風景が日本にあったのかー…。人はほとんどいなくて、広い砂浜に思うままに足跡をつけた。



 引き返しながら水族館を見る。魚が大好き。料理屋さんでバイトしていたときも、刺身になったあとの魚の頭とか興味津々で観察してた(後輩に「残酷っすね」と言われたり…)。魚屋さんでも、丸のままパックになってる魚を見るのが大好きだ。普段、絶対見られないものが目の前にあるっていうのがすごい不思議な気がする。で、そんな私なんで、魚が生きて泳いでるなんて、まさに興奮の極地です。いちばんおもしろかったのは、黒潮の海を再現したっていう、大きな水槽。薄暗い水の中に、アジの群れやカツオがいっぱい泳いでる。普段は食べ物に過ぎないこれらが、水の中でメタリックに輝きながら泳ぎ回ってる光景は、すごく興味深い。水槽は大きいけど、壁におおわれていて、所々に小さなのぞき窓が開いていて、そこから見るようになっている。視界が全部開けないので、上下左右あちこち見回しながら魚を探す、そのカンジも楽しい。水の中の魚の視界ってこんなものかもしれない。小さなのぞき窓にひじついて、ずーっと眺めてた。

  と、なにやら巨大な魚影が…ジンベイザメがいる。ジンベイザメは、彼にとっては狭くてしかたないであろう水槽の中を、ゆっくりとグルグル回っていた。そのゆったりとした泳ぎっぷりを見てると、ますます自分のあせりが馬鹿らしくなってくる。エイたちの、空でも飛んでるみたいな泳ぎも楽しかった。イルカのショーが始まるってアナウンスがあったけど、しつけられた動きを見るより、こいつら見てた方がずっと楽しい。


 今度はお花畑を目指す。今の東北には花なんて花屋さんくらいにしかない。南の島で花を見たいって気持ちもあった。けど、こっちはもう桜散っちゃったんだって。種類は違うらしいけど。その上、アサガオやらコスモスまで咲いてる。なんて季節感のないところだ。他にも、ペチュニアやベゴニア、サルビア、ブーゲンビリア、ハイビスカスなんかを見た。驚いたのはランが地植えで咲いてたこと。さすが。


 気がついたら公園の端っこまで歩いてきちゃってて、また歩いて駐車場まで戻る元気はない。しかたなく、¥100払って園内を巡っている電気自動車に乗る。お昼を食べてないけど、手頃な食堂もないので、そのまま走り続ける。今度は瀬底島へ。橋で島に渡れるのだ。風が強くてバイクは左右に振られる。めちゃ怖い。瀬底ビーチっていう無料のビーチ(沖縄はビーチが有料。信じられん!)のそばに食堂があるらしいんで、行ってみたけど、今は昼間は営業しないんだって。いくら沖縄っていってもこの時期、海水浴は無理だしなあ。ビーチはやっぱりエメラルドグリーンの海。打ち寄せる波は透明で、ちゃんと底まで見える。こんなとこで泳いだら気持ちいいだろなあ。でも、さすがに今はほとんど人もいなくて、B'zの「恋じゃなくなる日」が頭に浮かんだ。

 だんだんと雲も出てきたので、あとは急いで宿に帰る。途中のコンビニでハンバーガーと夜のゆんたく用のチューハイを買う。泡盛は呑めないもんで。WARUのシークヮーサー(沖縄みかん)味ってのがあったんで、沖縄限定かと思って買ったら、本州でも売ってるんだって。ちえ。

 宿に戻ったら、新顔の人が来てた。今まで泊まってた私以外の人たちはみんな旅立っちゃったんで、嬉しい。結局、今日のお客さんは全部で3人。今日も夕食の準備、スタッフのパタさんといっしょにモヤシの根取りをする。夕食はソーミンチャンプルー(ソーメンの炒め物)とシチューと野菜炒め。今日は寒いからと、ストーブまで出てきた。これで寒いなんて、信じられん。

 チーフスタッフの杉さんから、いろんな話をうかがう。阪神大震災のとき、仕事を放り出してトラックに救援物資積んで北海道から神戸まで走った話。ここの人たちは、みんな自分のことだけじゃなくて、人の大事に手を差し伸べる。オーナーの成田さん(車椅子だけどめっちゃアクティブ)や師匠も、基地問題に走り回ってる。自分のことだけで精一杯な私にとっては、すごくびっくりだ。

 今夜はにぎやかな男の子たちもいなくなっちゃったんで、ひどく静か。寂しい夜。師匠に「帰らないでもっとここにいな。三線とか沖縄の言葉とか、いっぱい教えてあげるから」って言われて、すげーつらくなる。もっともっとここにいたいよ。

22日 23日 24日 25日